「仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法」内田 和成(東洋経済新報社)¥1,680

コンサルタントの世界で良く使われる言葉「仮説」、最近は一般でも良く耳にしますが、コンサルタントの仕事の速さの秘訣がこの仮説思考であると言えます。

仮説とは「現時点で最も答えに近いと思われる答え」。

ビジネスの現場は意思決定の連続です。新規事業に進出するのか、既存事業を撤退させるのか、新商品のコンセプトはどうなのか?、価格戦略は?出店戦略は?競合は?等々、しかし、ビジネスの世界には正解はありません。そして、時間的制約もあります。

ありとあらゆる情報を集めて分析して、意思決定をしていては手遅れになってしまいます。しかし、そこで仮説思考によって、意思決定のスピードを高める事ができるのです。

ある種の経験に基づいた「勘」ではあるのですが、こうではないかと立てた仮説、そしてそれを検証する、というサイクルを繰り返しながら、より正解に近い意思決定を行うようにする。それが仮説思考です。最終のゴールを先に検討つけることで、必要な情報、分析が明確になり、仮にその仮説が間違えていた場合でも、早期に軌道修正が可能というわけです。

本書ではこうした、仮説思考の有効性。具体的に仮説とはどんなものなのか、ビジネスケースでの例示。インタビューや、簡易分析からの仮説の立て方、検証方法。そして、仮説思考力の高め方を紹介しています。仮説の構築には経験が何より重要なのですが、本書ではそれ以外の学び方として、"So What?""why"を常に考えることや、新聞や、身の回りの出来事から、将来予測をしてみたりする。はじめのうちは失敗を重ねるけれども、失敗を経験しながら「知的タフネス」を身につける事が重要なのだと言います。

本書の内容は、自分もコンサルタントとして働く中で、上司から常に言われること、そのものです。

コンサルには理系の方が意外と多いですが、研究肌の方で、どうしても分析中心になりがちな方などには特にお勧めです。


上記にも書きましたが、本書の内容はまさに今の会社で良く言われる事です。競合分析や市場分析をしていると、徐々に「木を見て森を見ず」な状態になりがちで、行き詰ってしまう事が多々あるのですが、一歩下がって全体像を見た時に、この提案ではどんな事が言いたいのか、この提案書のこのページで言いたい事はなんなのかを考えると、ふっと抜け道が見えてきます。

提案書を書く時に上司に言われるのが、「最初に紙芝居を描け」と言われます。1シート1メッセージ、1枚の提案書には一つのメッセージ、それをどう繋ぎ合わせるのか見る。

もちろん、初めての業界、課題であったりもしますが、その場合でも仮説を立てて、一通り作る。その大きな方向性さえ間違えてなければ、上司も概ね了解をくれるので、その後具体的に仮説の検証に入る。

そんな作業を日々行っています。とは言え、そう簡単に仮説なんて出てくるはずもなく、常日ごろからの情報収集とそこからの思考力。上記であげたような仮説思考力の磨き方を参考にしつつ、精進したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「国家の品格」藤原 正彦 (新潮新書)¥714

200万部を超えるベストセラー。いろいろな方から感想を聞くので読んでみました。

論理力。ビジネスの世界でもキーワードになっていますが、なんでもかんでも論理的なだけで良いのか?そもそも、その論理の初め(「AならばB」のA)自体が間違っているのではないか。この部分を間違えると論理が通っていればいるほど、結果は大きく間違ったものになります。

そして、現在世界を覆っているのが、アメリカの資本主義、市場主義であり、民主主義であり、自由や平等と言った概念。これらの概念は、聞けば確かに美しい論理が通って、なるほど、その通りと思うのですが、最近では格差社会が懸念されてきているように、本当に正しいとは言えないのではないかと。

そして、このAの部分、論理の初めを作るのは「形や情緒」であり、日本には長い歴史の中で培ってきた精神がある。それが武士道精神であり、今ではその精神が失われつつある。この精神はかつては世界からも評価された、日本特有の素晴しい精神です。

我々日本人はむしろ、こうした精神を広めていくべきではないかと著者は言います。

文章も軽快で、途中に入るジョークも個人的には好きなタイプです(筆者と同大学の哲学者でエッセイストの土屋賢二の作品に似た感じ)、各種の書評では、「内容が浅い」との評価ですが、そのおかげで軽く読めました。

最近の「日本の良さを見直そう」といった風潮によくあっているので、売れたのかとも思いますが、内容的にも面白かったです。

国家や品格を考えるよい機会になりますし、最近ロジカルシンキングに興味を持つ者としては、「平等」や「自由」と言った、当たり前に「善」と考えられているものについても、論理の最初の仮説を疑うという、スタンスを持つ事の大切さを改めて学んだ気がします。


最近、小学校のうちから英語を必須にしようとする動きがあります。世界で活躍できる国際人を育てようというのが目的でしょうが、本書でも言われている通り、日本人としてのアイデンティティもしっかりしていないのに、英語だけ話せても国際人として活躍出来るとは思えません。自分も留学した際に、日本の歴史・文学を知らない事を情けなく思ったものです。

英語を勉強するのは結構ですが、日本人として学ぶべき大事なものがたくさんあると思います。それが何かは分かりませんが、基礎学力はもちろん、日本についてきちんと身に着けることのほうが先決だというのは、筆者に同意します。

行き過ぎた米国のような市場主義経済の結果か日本においても格差が広がっているようですが、一方でLOHASなどのライフスタイルの部分では日本の生活様式や美意識なども見直されていると思います。経済の面は、グローバルな資本主義経済において、その大国のアメリカの様式を前提とした論理が通ってしまうのは、いたしかたないのかもしれません。

著者は日本の精神である「もののあわれ」や「卑怯を憎む心」などが、人類に普遍なものであると書いていますが、確かにそれは見つめなおし、評価すべきものかも知れませんが、それすらも米国が行ってきた資本主義や民主主義の押し付けと変わらない可能性があります。誤解を与える可能性も考慮しつつ、分かりやすさを優先した書き方になっているせいかも知れません。

自分なんかには何が正しいのか分かりません、地球上の人類すべての人にとっての正解なんてあるのかどうか。それを真理と呼ぶのかもしれません。人類は過ちを犯しながら、著者は人類は成熟しないと断言してますが、きっと何世代もかけて、何度も同じ間違いを犯すかも知れないけれど、少しずつ成熟しているのではないかと、僕は思います。

それまで、地球がもってくれると良いですが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「セイビング・ザ・サン」ジリアン・テット(日本経済新聞社)¥2,100

またまた、金融を舞台にした書籍ですが、今回はノンフィクションです。

記憶にも新しいですが、長銀(日本長期信用銀行)が米国の外資系ファンドに買収され、新生銀行になるまでの過程を小説風に当事者達の視点から描かれております。

本書の素晴しい点は、長銀を取り上げていますが、日本の銀行が戦後どのような役割を持って政府によって作られ、役割を期待され担ってきたのか。そして、80年代の誰にも止める事ができなかったバブル。政府が悪いのか、システムが悪いのか、銀行の経営者が悪いのか、企業が悪いのか。と言った、銀行の歴史、文化、銀行経営の考え方なども書かれている点がひとつ。

そして、2点目は小説風に書かれているため、飽きずに読み進める事が出来る点。特に長銀の頭取であった大野木氏については、長銀入行からイギリスでの駐在、経営企画部など経て頭取になり、逮捕されるまでの人生、ドラマがあり非常に興味をひかれます。銀行の向かう方向性に矛盾を感じ、声をあげるも実現できずに、社会・時代の流れに流されていく葛藤が描かれています。

前半は長銀が上記のような歴史を経て、買収される経緯。後半は外資系の投資家達が旧長銀、新生銀行をいかに立ち上げるか、日本人との文化的な対立や、政府の対立・交渉を通じて、日本に新しい風を吹き込もうとする想いと難しさが、これも登場人物の視点から描かれており、面白く読めます。

日本の金融機関で働いている方は既読かも知れませんが、働こうと思っている方や金融機関を相手にビジネスをされている方などにお勧めです。また、バブルをあまり知らない世代(今20代中盤以前)の方にもバブルがどのようにして起こり、崩壊していったのかを理解するうえで、ためになると思います。


本書も金融機関への転職を考えて手にとった本ですが、予想外に面白かったです。そして、金融業界にも非常に興味がわきました。しかし、本書で書かれている出来事、新生銀行の登場もつい最近の出来事です。昨今では異業種からの金融ビジネスへの新規参入、そして外資系金融の進出も進み、日本の大手金融機関においても不良債権処理がやっと終わったようです。これから、日本の金融機関もようやく護送船団方式から抜け出した経営を行える風土が出来たのかも知れません。ただ、そうは言っても今行内で上にいる人間の意識がどれほど変わっているのかを考えると、大手行はまだしも、地方銀行においてはまだまだ時間がかかるかもしれません。

また上述のとおり、バブルを非常に分かりやすく理解できました。結局、誰が悪いかと言うと、当時の日本の金融システムを変換することが出来なかった政府の責任なのかも知れませんが、こうした大きな流れを変えるというのは非常に難しいのでしょう。とは言っても、先延ばしにした結果、不良債権処理にこれだけの時間を要してしまって時間を無駄にしてしまったとも言えるわけで、やはり問題は早期に解決していくのが良いのでしょうね。

当時は外資系批判も多くありましたが、グローバルな資本主義社会においては仕方ないことでしょうし、日本的経営では無駄になっていた資本が有効活用されるようになるのだから、良いように思います。本当は日本人が日系の企業がこうした資本(金、不動産、企業、人材)をうまく活用出来れば、それに越したことはないでしょうけどね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行」黒木 亮 (祥伝社文庫)¥750

久しぶりに小説を読みました。

邦銀から外資系投資銀行へと転職し、マネーゲームに魅せられた龍花と、邦銀において、日本のため、銀行のためにと身を粉にして働く今西。この二人が国際金融ビジネスを舞台に巨大融資案件のディールを獲得を目指し争う。そこに銀行間のTOBなども絡むビジネス小説です。

金融の知識があれば、確かに理解も早いでしょうが、ある程度の知識があれば分かりやすい解説もあるので流れに逆らわず国際金融ビジネスの緊迫感を感じることが出来ると思います。(想像ですが)

本書は、今後のキャリアを考えるうえで金融を考えても良いかなというのと、昨今新聞紙上でも多いですが、大型投資案件においては協調融資(シンジケートローン)が多用されていることもあり、このシ・ローンを舞台にした小説に興味を持ったため読んでみました。

金融用語はそれほど違和感なく読めましたし、金融ビジネスの一端を見ながら、邦銀の硬直した組織体制の中で葛藤する今西や、マネーゲームに魅せられつつも「幸せ」について考える龍花の心理描写など面白く読めました。

金融業界で働いている人、及びこれから働きたいと思っている方にはお勧めです。

(追記)
しかし、外資系金融機関、主に投資銀行なんかでしょうが、給与の高さには驚かされます。サラリーマンで年収1億、2億普通に稼ぐ人がいるようです。なぜでしょうね。確かに高度な知識や能力が求められるのかも知れませんが、一般企業の生涯賃金が2億だ3億だって言っているのに比べて桁が違い過ぎます。そこまで能力に差があるとは思えません。動かしてる金額の大きさでしょうか?そこから生み出す売上の源泉が「人」によるところが大きいから、でしょうか。イマイチ理解できないので、一度中に入ってみたいという気もしますけど。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ」柴田 昌治 (日本経済新聞社)¥680

自分の勤める会社の社長が今年変わりました。また、最近社内及びグループ会社を含めたモチベーション調査があり、いちぢるしく社員のモチベーションが下がっている事が指摘され、新しい社長にとって、当面の課題はこの課題にいかに対応するかであるかと思います。

いろいろと新しい方針を打ち出してはいますが、果たしてどうなるものかと、会社に勤める当事者なのに客観的に見てる自分がいますが、「やらせの改革」というのはいまいち社員には響かないものです。そうして多くの改革が失敗しているように思います。




本書では、自動車メーカの系列の部品子会社を舞台に、そうした上からの「やらせの改革」をするのではなく、会社に生まれる、風土・土壌を改革して、社員自身が変わって会社が変わっていく様が小説仕立てで描かれています。

「まじめな雑談」というインフォーマルな場を作り、会議ではなくオフサイトミーティングの場(所属も、職位も考慮しない場)で社員それぞれが抱えている問題意識などをざっくばらんに話し、社内のネットワーク、信頼関係を築き、大企業になればありがちなセクショナリズムを排していくことから、改革は始まります。聞くと簡単ですが、実際にこうした場を作り、継続させていくこと自体難しいように思います。本書ではそこでコンサルティング会社、と言ってもお仕着せの提案をするのではなく、クライアントともにプロセスで悩みながら試行・錯誤していくコンサルティングなのですが、を利用してうまく場を作っていきます。

本書に出てくる、組織的な課題は自分の会社も含め、多くの会社で当てはまるのではないでしょうか?組織同士が互いに協調しあうべきなのに、リスクを考えて抑制しあってしまっている。新しいことを思いついても、言った者にすべてを任せて、誰も協力しないような環境で言った者が損をし、「言っても無駄。」「何も変わらない」と思ってしまうような環境。責任が不明確な会議やプロジェクトがあったり。

舞台が自動車部品メーカーということで、製造関係の部署、設計・開発・製造の部署を中心に組織改革の話が進むので、なじみがないと実感がわきにくいかも知れませんが、キーマンの心理描写などが結構細かいので、気にせず読めると思います。

冒頭に自分の会社の状況を書きましたが、実際には今の社長は社員とのコミュニケーションの場を増やすようにしていますし、また、経営ビジョンについても社内公募を行うなど、経営方針についても、透明性を高める方向で動いてくれているようですので、ちょっと期待すると共に、本書で学んだことが生かせるのではないかと考えてます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

本の虫「パーミッション・マーケティング」と「プロフェッショナルの条件」

2005年も2月に突入し、診断士1次試験まで180日を切りました。1月はひたすらに「財務・会計」に力を入れたので、足切りである4割を切らない程度には知識がついたかと思いますが、これから8月までに他科目も補強しながら、「財務・会計」の知識を衰えさせずにいくのはなかなか大変そうです。

さて、勉強しなければいけないのに、ついつい本を読んでしまう今日この頃ですが、たまたまブックオフにいったら単行本がすべて500円均一なっていたので、衝動的に4冊ほど購入してしまいました。これも勉強のうちの自分に言い聞かせながら勉強から逃げるような気もしますが・・・

「パーミッション・マーケティング」(Seth Godin元Yahoo副社長)。最近では当たり前のようになってきましたが、それまで考えられていた顧客を無理やり誘導するようなマーケティングではなく、顧客の「許可」のもと行うマーケティング手法。顧客一人一人にカスタマイズされた「ワン・トゥ・ワンマーケティング」をさらに高め、主にITを駆使するためインターネットの世界においてはすっかり定番となっているように思います。最近流行りのフリーペーパーもある意味パーミッションマーケティングと言えると思います。フリーペーパーもターゲットをより細かなセグメントに分け、25歳くらいの世代をターゲットにした「R25」などは60万部近く発行されて、発行日の木曜日にでもラックからすぐなくなってしまうくらい人気だが、これもターゲットとする世代の人間(ぼくもそうですが)が、提供される情報に興味を持ち、広告を出す側もターゲットが明確なので広告も打ちやすく、効果も期待しやすい。

話がそれますが、最近本当にフリーペーパーが多いですね。女性向けのものでも、世代別であったり、既婚者向けであったり、結婚を特集したものであったり、シニア向けのものや、ペットもの等。ここまで細分化するのも、消費者が無駄な広告ではなく、自身の興味のある広告に対して受容性を持ち、フリーペーパーの情報媒体としての価値を認めているからではないでしょうか

プロフェッショナルの条件」(ピーター・F・ドラッカー)今月の日経新聞の「私の履歴書」でも連載しているドラッカーの著書の中でも有名な一冊。まだ、触り部分しか読んでませんが、知識社会に対する考察への説得力がこれまで読んだ本とは比べ物にならない。誰も彼もが「これからは知識集約型社会だ」とか「情報化社会だ」とか「知的労働者以外はオフショアで皆海外へ流出してしまう」など言っているが、それが何故起きて、何か今起きているのか、それをきちんと説明している書籍は少なかったように思ります。それをきちんと踏まえたうえでこれからどう生きていくべきか、また、読んだら感想を書きたいと思います。(←勉強しろ!!)


後2冊買ったのですが、これはまた今度紹介したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)