「広告会社は変われるか―マスメディア依存体質からの脱却シナリオ」藤原 治(ダイヤモンド社)¥1,575
ブロードバンド普及による、「放送と通信の融合」、グローバル化、テレビ視聴スタイルの変化など、これまでの広告会社のビジネスモデルを覆すような環境変化が起こっています。そんな中で広告会社(≒電通)は変われるのか。どう変わるべきなのかを、電通総研の前社長が説いてます。
本書では、まず現状の広告会社のビジネスモデルの解説から始まり、広告会社の発展の歴史、取り巻くメディア、消費者、広告主の変化を整理し、広告会社のビジネスモデルに対する変化の必要性を問う一方、これまでのスペースブローカー的役割、コミッション制に拠ったビジネスモデルからの変革の難しさについても触れています。
解となる選択肢として、グローバル化に対応した持ち株会社制への移行や、ネットに対応した、eプラットフォームと呼ばれる、CRM戦略などを提案。
解に特に目新しさはないものの、広告会社の置かれている現状を捉えるには、おさらいとして分かりやすく良いのではないでしょうか。広告会社勤務及び就職希望者、取引先の人間は読んでおいても良いかも知れません。
知っている人は知っているが、知らない人は知らない、広告代理店のビジネスモデル。基本的には広告「枠」を確保して、売る。「枠」がなければ、作る。そうして、あの吉田秀雄氏は民放放送局を立ち上げた。今は懸命にセカンドライフの普及に躍起になってる。
実際、電通を調べてみると、割合は減少傾向にあるものの、媒体社からのコミッションが6割以上を占めている。現在電通は「国内広告市場」「広告周辺市場」「新市場」「海外市場」の4つ市場を対象にビジネスを行っているが、主力の「国内広告市場」以外の「広告周辺市場」「新市場」は、それ自体の売上も確かにあげているものの、「国内広告市場」を獲得していくがための付随的ビジネスという位置づけになってしまっている。
※新市場はコンテンツ・ビジネス。ワールドカップや世界陸上などのスポーツマーケティングが含まれる。
電通内では、未だ売上重視の考えが強く、売上をあげるメディア局などが花形なのかも知れないが、実際には非常に手広くビジネスを行っており、広告周辺市場の動きなどを見てみると、本書でも述べている「自己商」とも言うべき、商社的なビジネスも数多く、単なるスペースブローカーよりも、よっぽど面白い仕事が出来そうな会社がたくさんある。
広告会社は歴史的に、新しいメディアの登場と共に、盛衰を行ってきており、テレビ媒体に依存した電通が果たして、テレビ自体の存在意義も変わってくるなかで、今後どう動いていくのか、非常に興味深い。
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