最近、極端に本を読むスピードが遅くなりました。スピードというより時間がないせいでしょうか。
ブランドと聞いてすぐに思い浮かぶものと言えば、「グッチ」や「シャネル」などのファッションブランドであったり、「レクサス」や「ベンツ」等の高級車であったりと、消費財においてはとても浸透しており、ブランディングに関する本も消費財を対象としたものが多いなか、本書はB2B、企業間取引におけるブランディングの効用と、その具体的な方策を説明している。ちなみに著者は博報堂ブランディングコンサルティングの 首藤社長。
これまで、企業間取引においては、人的営業による長期的な取引のため、ブランディングの必要性が求められてこなかったが、商材の変化(モノからソリューション等のソフト的なものに)等により、購買側の購買プロセスに変化が生じてきた。そうした中で、価格競争に巻き込まれず、商談を優位に進めるためにもブランディングの必要性が生まれてきた。
ブランディングは顧客のみでなく、全ステークホルダーに対して行われる。従業員、人材市場や取引先や株主など。
それぞれのステークホルダーに対するブランディングの効果と、その方法も説明されている。
顧客に対しては企業における購買プロセスを、自社のポジションによって、それぞれ体系立てて捉え、各フェーズにおける効果的なブランディング施策の立案が求められる。
また、コーポレートブランディングのみでなく、営業人材ブランディング、技術素材ブランディングなど、B2B企業にとって直接的に役立つ形で紹介されている。
ただ、国内においてはまだ具体的な事例が少なく、この分野の研究もまだ広まっていないため、まだ理論として体系立っているとは言えない状況ではあるが、B2Bブランディングの数少ない書籍として、有用だと思う。
以前、自分が勤めていたIT会社はまさにB2B企業でした。当時からマーケティングやブランディングに興味があり、携わりたいと思っていましたが、そういった考えはほとんど皆無だったように思います。
メインフレームと呼ばれる、ウィンドウズ等のオープン系とは異なる、各社独自の技術でもってビジネスを行ってきた会社でしたが、オープン化の波に飲まれ、独自技術も優位とはならなくなり、ウィンドウズならどこから買っても同じだと、差別化要素も薄れました、どこの会社でもそうですが。
実際には、社内には優秀な技術者がいたり、長年ミッションクリティカル分野に携わってきた等のブランド要素があるにも関わらず、上手に伝えられず、価格は叩かれてばかりだった気がします。
営業の現場にいると、「なぜ、普通の価格で売れないのか、値引きをしないと買って貰えないのか」、単純な悩みを良く抱えていたものです。
うまくブランディング出来れば、価格プレミアムを実現する事も出来るのではないかと思います。また、自分も含め離職者が多い(IT業界はどこもそうかも知れませんが)のも、結局、どこでもやってる事は一緒で、自分でなくても出来る仕事のように思えてしまう点もあるのではないしょうか。これはインナーブランディングの問題です。
本書でも述べられていましたが、B2Bの大企業ともなると、最終製品に携わらないために、自分の仕事の遣り甲斐などが見い出しにくくなってきます。そうした時、自社のミッション、社会的な役割、価値を伝える事は重要だと思います。コーポレートブランディングはまさにB2B企業にこそ、求められるのではないでしょうか。
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